総合実習

学生の希望を元に実習先を決めて3週間、総まとめの実習を行います。看護の魅力を感じ「こんな看護師になりたい!」と決意します。
2年間受診をがまんし、進行がんで人工肛門を造設したタクシー運転手の患者さんは、本音を話してくれません。学生はどう向き合うか悩みながらも思いを聞き、退院時にメッセージカードを渡し、初めて笑顔で「ありがとう」の言葉をもらいます。体調が悪くても生活のために受診を我慢しなければならない現実、社会復帰しても元のように働くことは難しく、さらに生活保護を切られる恐れもある現実を知り、「社会に目を向け問題意識を持ち、患者さんが抱える苦悩と不安を受け止められる看護師になりたい」とまとめました。

総合実習の取り組み

(教育理念に基づいて)

1年次 「入学合宿研修」で 地域の方々、患者さんへの訪問インタビューを縦軸に、クラス全体で交流や食事つくりを通して組織的に民主的に力を合わせて学びのスタートを切ります。ここで大事にしていることは「患者さんの闘病史、生活史を伺う」をレポートすることで「事実をありのままにとらえる」ことは意外と難しいこと、あるいは「患者さんは看護師の先生」だということです。このことは3年間を通して、学内あるいは隣地実習の課題ともなります。
2年次 「生命活動学習」―1年次の解剖、生理、生化学講義を土台に①生物の進化と人類の社会進歩の歴史に学び、私たちの生命が素晴らしい健康のちからによって支えられていること②人間の生命活動を全体と諸器官の相互関係の視点で、人々が健康に生きるための基礎知識について、いつでも、どこでも、誰にでもやさしく、楽しく説明できる。③生命の対等平等を学ぶ目的でグループ学習を行います。病態理解あるいは看護技術の根拠としている取り組みです。この学びを糧に成人1・専門領域実習での病態理解を徹底します。
そして1~3月、生活と労働の視点で患者さんを捉えるための学習として地域フィールドの取り組みを行います。
3年次 「在宅・老年実習」――前半4週、後半4週で老年病棟・在宅関連諸施設・老健・グループホーム・健康友の会活動参加等 高齢者の健康と生活、闘病支援を通して学びます。実習と並行して「憲法と平和と医療研修」の事前学習にとりくみます。

学生の学び

学生同士、力を合わせ患者さんと向き合ってきた。学生の力がチームに加わることで・隣地実習毎に確実に患者さんの病状変化,回復につながってきていることを数多く体験している。一方看護師の目の回るような忙しさも見ている。そういう中で最終学年をむかえ翌春からの看護師として実際先輩方のように働けるのかという不安も強いものがあった。
3週間の個人受け持ち総合実習の後、卒論研究(グループ研究)では患者さんから離さず、自分たちが疑問に思ったこと、わからなかったことを調べていった。その中の多くの事例に看護師不足の問題と社会保障制度の貧困に起因している課題があった。
調べていくと看護師不足は歴史の中でも大きな問題となっていて、よい看護を行うために運動をおこし、闘ってきた看護師の闘争(1968年ニッパチ闘争)があった。看護師が諦めずに看護して、患者さんの可能性を見出していくためには、看護体制と労働環境が保障されないと難しい現状のあること、生活保護費の引き下げや水際作戦、自助自立が徹底され様々な制度改悪が行われている。改めて憲法25条の生存権が脅かされていることに気づいた。そこで人権の歴史を調べていった。
そして患者さんの置かれている生活を守るためには政治にも目を向け、矛盾に対して声を上げていく立場なんだ、権利は闘う者の手に(朝日訴訟)、闘わない奴は泣け(白い波涛)
と学びクラス全体で確認できた。